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伊橋は新宿の料亭『藤村』に入ったばかりの新米料理人。料理学校を首席で卒業した自信から、洗い物やゴミ捨てなど雑用ばかりやらされる「追い回し(アヒル)」に飽き飽きしていた。伊橋の不満を聞いた立板の横川は、その腕前がどの程度のものなのか、追い回し歴三年の谷沢と「桂剥き」をやらせてみるが…。板前の世界を描く異色の「食」コミック!!
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熊野は、腫瘍ができて入院した妻・静子が心配でならない。熊野には、もう一つの心配事があった。それは、現在一浪して受験勉強に励んでいる娘・恵美のことだった。妻の入院準備をしていたある夜、恵美の頼みで熊野が久し振りに茶わんむしを作る。父が作る茶わんむしは、恵美にとって風邪で寝込んだ小学生の時以来、十数年振りに味わう温かな「父の味」であった。
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ある日、『藤村』の休憩室でテレビを見ていると、伊橋の父親が映し出された。自分の家庭について、多くを語らない伊橋だが、その父親は大学教授で高名な経済学博士であった。今から六年前、大学進学を強要する父親と衝突した伊橋は家を飛び出し、以来一度も帰っていないのだ。ある日、ホテルのパーティで出す屋台の助人を頼まれた伊橋は、来賓客の中に父親の姿を発見する。
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岩田は、『藤村』でもベテランの仲居。盛り付けの間違いや料理の味の善し悪しなど、すぐに見抜いてしまうので、花板の熊野からも一目置かれていた。だが、口の悪い伊橋は、その個性的な風貌を「オコゼ」にそっくりなどと陰でからかっていた。ある日、ボクシングの日本チャンピオン・辻本が『藤村』を訪れる。辻本は、試合当日の昼食は、岩田の細やかな気配りで落ち着ける「藤村」ですると決めているのだ。
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ある日、伊橋は板場の食事用としてキンピラを大量に作った。その日、見るからにヤクザと分かる二人組の客が来る。「アイツらにはこれで充分」と考えた伊橋は、昼に作ったキンピラを先付けとして出すが、弟分のヤクザは大喜びだった。その夜、伊橋は暴走族に因縁をつけられるが、さっきのチンピラに救われる。数日後、あのチンピラが伊橋を訪ね、近ー、鉄砲玉として対立する組長を殺すことになったと話す。
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伊橋の兄の学が、前ーから付き合っていた女性の上原みどりと結婚することになった。その披露宴の料理を兄から頼まれた伊橋は、ふたつ返事で引き受ける。素材の魚は、新婦の弟・太一が届けるとのこと。披露宴当日、太一の運転するトラックによって三陸から立派な鯛が運ばれて来る。無事、大役を終えた太一だったが、披露宴に出席する様子がない。
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鮎の塩焼きを任されている焼方の伊橋だが、どうも出来上がりに納得がいかない。このことを相談した親方・熊野から、日尾喜三郎という鮎料理の名人が書いた料理書を渡される。それ以来、鮎のことが頭から離れない伊橋は、ふと立ち寄った不思議な屋台の主人に、鮎の塩焼きの作り方の手ほどきを受ける。この屋台の主人の正体は…。
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休日に親子三人で遊びに行き、楽しく過ごした坂巻。坂巻は、楽しかったものの子供を持つと行き先は限られるとも感じていた。そして、その休日明けの『藤村』に、小さな子供を連れた予約客がやって来た。しかし、その小さな子供が、走り回るは大声は出すはで、熊野も困ってしまう。他の客に迷惑になるので仕方なく店を出ていこうとしたその客に、坂巻が声をかけた。
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伊橋がよく行くヤキトリの屋台が、ここしばらく店を出していないようだ。屋台のオヤジさんが三十年かけて作り上げたタレが入ったカメを、酔っ払って暴れた客に割られてしまったからだ。心配になった伊橋は、谷沢と共にそのオヤジさんの住むアパートを調べ訪ねる。しかし、もうタレを作る気力はないと言う。なんとかオヤジさんをやる気にさせたい伊橋は…。
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今年も蟹の美味しい季節となり、『藤村』の板場にも日本各地で獲れた立派な蟹が届けられた。伊橋達が下拵えで忙しく働くなか、その中の蟹が一匹がなくなった。板場を見渡してみると、いつの間にかに入ってきた野良猫がくわえているではないか! すぐに猫を追い払ったが、その後も『藤村』の被害は続いた。そこで、伊橋はその”独眼龍”と呼ばれるタチの悪い猫を退治しようとするのだが…。
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鬼怒川温泉のホテル「酔心館」は老舗だが、現在は板前の質が悪く、宿の評判は悪くなるばかり。とうとう、その女将が友人である『藤村』の女将に助けを求めてきた。そこで、伊橋がその助人として選ばれ、その板場に入る。想像以上にひどい板場の状態を目のあたりにして、伊橋は頭を抱えてしまう。そして、板前達がいっせいに辞めてしまう非常事態が発生する。
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『藤村』の馴染みの客・松田が、味噌汁を三杯もお替わりした。塩分の取り過ぎだと心配する坂巻に、松田は「家では飲めないもんだから…」と言う。というのも、松田は結婚前に相手から「結婚しても仕事を続けたいので、料理にはあまり手をかけられない」と言われたのを承諾して結婚したからだ。今更、妻に朝食に味噌汁が飲みたいと言えないでいる松田に、伊橋が悪知恵をつけるのだが…。
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茅ケ崎にある兄の家に向かう電車の中で伊橋は、昔のサーフィン仲間・田村に出会う。これから後輩達にサーフィンを教えにいくところだという田村達に、伊橋は兄の家で夕食を振るまう約束して別れる。その夕食の用意をしていた伊橋の元に、田村が飛び込んで来た。サーフィンを教えていた後輩の女の子が沖に流されて、行方不明になってしまったというのだ。
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『藤村』の社員旅行で出会ったのが縁となり、今は熊野の口利きで東京のレストランに入って修業しているコック志望の青年・孝夫。その孝夫から伊橋は、故郷へ帰ろうかと思っていると打ち明けられた。理由は、新潟で一人で暮らしているバアちゃんが軽い脳溢血で倒れたのが心配なためだという。これを聞いた伊橋は「それでは、逆にバアちゃんを東京に呼べばいいのではないか」と提案するが…。
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熊野の一人娘・エミには、今結婚を考えている相手がいる。しかし、熊野はその相手にどうしても会ってくれない。何とか父親を説得して欲しいと相談された伊橋だが名案が浮かばない。相談を受けた数日後、伊橋は『藤村』の常連・円鶴師匠に「嫁菜飯」を出したところ、他のに変えてくれと言われる。師匠は、「嫁菜」という名が辛い思い出を呼び起こすからだと話し始める。
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香里とのデートで入った寿司屋で不愉快な思いをした伊橋。その翌日、伊橋が「寿司職人は板前と比べると一段下だっていうけど、まったくだね」などと言っているのを聞いた熊野は、伊橋を銀座のある寿司屋に連れて行く。その店に一歩足を踏み入れた瞬間、伊橋は昨日不愉快な思いをした寿司屋とはまったく違う「何か」を感じる。
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師走のある日、「登美幸」で毎年恒例の煤払いの日がやって来た。全従業員が一日がかりで大掃除をする一年を締めくくる大切な日でもある。その大切な日に寝坊した伊橋は、早速女将から大目玉を食う。しかい、掃除の心構えを女将に教えられ、伊橋は張り切って掃除に取り組んでいた。その矢先、「登美幸」でも一番価値のある襖を、伊橋と一緒に運んでいた藤田が落として襖絵を破ってしまった。
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京都の大金持ちで世捨て人のような生活を送る、宗重老と知り合いになった伊橋。不思議な魅力を持つこの老人に伊橋は、自分が働く「登美幸」に一度来てくださいと誘った。少ー偏屈なところがある宗重老は、行ってもいいが不味かったら金は払わんぞと言う。そして数日後、約束通りに宗重老が「登美幸」に現われるが…。
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体力の衰えを理由に、引退を決意した銀座「柳亭」の花板・田辺。引退にあたって田辺は、自分の後釜に弟弟子の熊野を考えているらしい。銀座「柳亭」といえば、数ある名料亭の中でも一流中の一流として知られるところ。田辺の跡を継いで、その花板に誰がなるのかと料理界全体が注目していた。当然、京都で修業中の伊橋の耳にもこの噂が入ってきた。熊野を慕っている伊橋は、その去就が心配でたまらない。
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高校のクラス会に出席した伊橋には、気になることがあった。それは、東大から大蔵省に入ったエリート・コースを歩いている、クラスの出世頭の平井の元気がなかったことだ。高校時代に仲が良かっただけに心配な伊橋は、美味しいものでも食べて元気を出してもらおうと『藤村』に招待する。エリート・平井の悩みとは…。
味いちもんめ。伊橋は新宿の料亭『藤村』に入ったばかりの新米料理人。料理学校を首席で卒業した自信から、洗い物やゴミ捨てなど雑用ばかりやらされる「追い回し(アヒル)」に飽き飽きしていた。伊橋の不満を聞いた立板の横川は、その腕前がどの程度のものなのか、追い回し歴三年の谷沢と「桂剥き」をやらせてみるが…。板前の世界を描く異色の「食」コミック!!。。。。
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